医療情報を、現場と制度の両側から読む株式会社医療ラボ
HEALTHCARE IT ─ SINCE 1999

医療の現場に、
忖度しない視点を。

電子カルテ27年。医療情報システムのコンサルティング・PMO・受託開発、そして医療データの二次利用支援。建前ではなく、現場で本当に効く「次の一手」を、制度と現場の両側から導きます。

27年EMR実装の知見
一次情報主義の論説
4領域の伴走支援
今週の論説
2026.08.01 ─ 資格確認

期限切れの保険証、8月から窓口で使えず。
「持っている」ことと「資格がある」ことは、同じでしょうか。

2026年7月31日をもって、有効期限の切れた健康保険証を当面受け付けるという暫定的な取扱いが終了しました。厚生労働省は7月1日付の事務連絡「健康保険証の有効期限終了に伴う今後の医療機関・薬局の受診時等の対応について(周知)」で、8月1日以降、期限切れの保険証のみを持参し、その場で他の方法によっても資格を確認できない場合は「健康保険証を忘れた場合と同様の対応」を基本とする旨を周知しています。この場合、患者はいったん窓口で医療費の全額を支払い、後日、保険者に請求して償還を受けることになります。以後の資格確認は、マイナ保険証または資格確認書によることが原則です。
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医療ラボの視点

紙の予備が、静かに役目を終えました。制度としては2024年12月の新規発行停止から続く工程の、最後の一段です。ただ、窓口に立つ側から見れば、8月1日を境に増えるのは「いったん全額をお支払いください」とお伝えする場面のほうかもしれません。カードや書類を持っているかどうかと、その人に資格があるかどうかは、本来は別の話です。「完全移行」という言葉が指しているのが、確認手段の一本化なのか、確認そのものの確実さなのか。しばらくは、窓口の実際を静かに見ておきたいところです。

医療情報トピックス

医療DXの動向を、両側から読み解く。

2026.08.02
AI規制

EUのAI法が適用の節目 ― 直前の改正で、高リスクAIの義務は2027年12月・2028年8月へ先送り

8月2日、EUのAI法(AI Act)が本格適用の節目を迎えました。ただしその直前の7月24日、改正規則「Digital Omnibus on AI」(規則(EU)2026/1744)が官報に掲載され、7月27日に発効。高リスクAIの主要義務(第III章第1〜3節)の適用は、単体型(附属書III)が2027年12月2日、医療機器など規制対象製品に組み込まれるもの(附属書I)が2028年8月2日へと後ろ倒しになりました。一方、第50条の透明性義務は予定どおり8月2日から適用され(8月2日より前に上市された生成AIには12月2日までの猶予)、市場監視の枠組みと汎用AIモデルへの制裁規定も同日から動き出しています。

医療ラボの視点規制の準備が間に合わないので、規制の開始をずらす。整合規格や適合性評価の道具立てが揃わないという理由は、実装に携わる側から見れば、うなずけるところもあります。ただ、日本の規制改革実施計画が「EUの制度も参考に」と書き続けている、その参考先が自ら期限を動かしたことは、頭の隅に置いておいてよさそうです。しかも先に動き出したのは透明性義務と市場監視――中身の義務より、見張り役のほうが先に着任しました。医療機器に組み込まれるAIの猶予は2028年夏まで。延びた2年で準備が深まるのか、締切が遠のいただけなのか。そこは静かに見守りたいところです。
2026.07.23
全国医療情報PF

医療・介護の情報連携、まず診療情報提供書と訪問看護指示書から ―「議論の整理」を持ち回りで取りまとめ

7月23日付で、第34回医療等情報利活用ワーキンググループ・第11回介護情報利活用ワーキンググループが「医療・介護間における電子的な情報連携に係る議論の整理」を持ち回り開催で取りまとめました。段階的な導入の観点から、まず診療情報提供書(退院時サマリーを含む)と、訪問看護指示書・計画書・報告書の電子的な共有から着手し、リハビリテーション関連の計画書や入院時情報提供書についても引き続き検討する方向です。整理では、コストや負担、セキュリティ、同意の取得方法、国民への丁寧な説明といった点も、留意事項としてあわせて挙げられています。

医療ラボの視点医療と介護をつなぐ配線図が、少しずつ形になってきました。最初につながるのが診療情報提供書と訪問看護指示書というのは、実務の順番としては素直な選択に見えます。もっとも、ここまでの絵はどちらかといえば、医療機関の側から介護へ「渡す」方向で描かれています。受け取る側の事業所が、その情報をどの端末で、誰の責任で預かるのか。整理そのものが「同意の取得方法」や「国民への丁寧な説明」を留意事項に挙げているのは心強い一方、留意事項というのは往々にして、実装が進むほど後ろの席に移っていくものでもあります。実装イメージが具体的になるほど、そちらの手当ても同じ解像度で語られることを、期待したいところです。
2026.07.21
医療DX政策

骨太方針2026を閣議決定 ―「医療情報化推進方針」を策定、医療等データは一次利用と二次利用を「一体的に」制度設計

7月21日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」を閣議決定しました。医療分野では、医療情報化推進方針を策定し、医療機関の情報システムの刷新、特定機能病院等の緊急的な対応を含むサイバーセキュリティ対策を進めること、電子カルテ・電子処方箋の普及と情報連携、医薬品等のデータベースの構築、医療・介護に関する情報の連携と二次利用を含む利活用の基盤を構築することが記されています。また規制・制度改革の項には、「医療等データの一次利用及び二次利用の一体的制度設計」を推進することが明記されました。

医療ラボの視点骨太方針で医療DXが柱に据えられるのは、これで何年目になるでしょうか。今年は「医療情報化推進方針を策定し」という一文が新しく加わりました。方針をつくるための方針、と読めなくもないのですが、システムの刷新もセキュリティも普及も二次利用も同じ配管でつながっている、という整理ではあります。もう一つ目を引くのが、規制改革の項に置かれた「一次利用及び二次利用の一体的制度設計」という一行です。目の前の患者のために使うことと、集めて分析に回すこと。効率の面では地続きでも、本人にとっての意味は本来ずいぶん違うはずです。一体的に設計されるとき、どちらの都合が先に立つのか――方針の文言が厚みを増すほど、実装の進捗と、その順番のほうを静かに見ておきたいところです。
2026.07.21
医療DX政策

規制改革実施計画を閣議決定 ― 6月の答申が「計画」に、電子カルテ共有と二次利用の拡大が政府方針へ

7月21日、政府は「規制改革実施計画(令和8年)」を閣議決定しました。6月29日の答申で示された医療分野の項目が実施事項に位置づけられ、電子カルテデータの利活用促進(電子カルテ情報共有サービスの対象情報・保存期間・共有閲覧対象者の拡充、二次利用の対象情報の拡充。令和8年結論)、本人同意を不要とする医療等データの範囲・利用主体・利用目的の在り方(EUのEHDSも参考に。令和8年夏結論)、医師による画像読影等におけるAI活用の促進などが並びました。

医療ラボの視点6月末の答申が、ひと月足らずで「実施計画」という次の器へ移りました。工程は令和8年結論・令和8年夏結論と小気味よく並びます。もっとも、拡げようとしているのは主に「集める・つなぐ・二次利用する」側で、集められる本人の同意を「不要にする」範囲の検討もそこに含まれます。EUのEHDSを参考に、という一文は心強い一方、あちらが同時に備える本人のオプトアウトや監督の仕組みまで併せて参照されるのか――計画の速さに、納得を積み上げる作法が置いていかれないか、次の結論を静かに見守りたいところです。
2026.07.10
個人情報保護法

改正個人情報保護法が成立・公布 ― AI開発のための「統計」はどこまでを指すのか

7月10日、改正個人情報保護法が参議院本会議で可決・成立し、7月17日に公布されました。統計情報等の作成にのみ利用される場合に本人同意を不要とする特例が新設され、資料には「統計作成等であると整理できるAI開発等を含む」と明記。学術研究例外の「学術研究機関等」に医療の提供を目的とする機関・団体が含まれることも明示されました。施行は公布から2年を超えない範囲内(遅くとも2028年7月)です。

医療ラボの視点どこまでが統計で、どこからが別の何かなのか。その線引きは、これから政令・規則・ガイドラインに委ねられました。病院が「学術研究機関等」に明示的に含まれたことと合わせ、医療機関は自院のデータの出口について、これまで以上に説明を求められる立場になりそうです。7月17日の公布で施行の起算点が定まり、これからの2年弱は条文の細部が固まるのを見届ける時間になります。
2026.06.29
医療DX政策

規制改革推進会議が答申 ― 電子カルテ情報の共有先に薬局・介護事業所、がん検診のAI読影は「医師1人」も検討へ

6月29日、規制改革推進会議が「規制改革推進に関する答申」を取りまとめました。電子カルテデータの共有・閲覧の対象者に薬局・訪問看護ステーション・介護事業所等を含めること(令和8年結論)、本人同意を不要とする医療等データの範囲等について令和8年夏に結論を得て令和9年通常国会への法案提出を目指すことが盛り込まれ、がん検診の二重読影を読影支援AIの活用により医師1名でも可能とする方向での見直しの検討(令和9年結論)も明記されました。

医療ラボの視点本人の同意を不要とする範囲は、7月に成立した改正個人情報保護法で広がったばかりです。その答申には、さらに次の法案を令和9年の通常国会に、という一行が並びます。掲げられているのは「入口」の同意から「出口」の監督へという転換ですが、入口が先に開き、出口の設計はこれから結論、という順番になってはいないでしょうか。別の項には「一定の強制力」「悉皆的に収集する仕組み」という言葉も見えます。集める側の仕組みが精緻になるほど、集められる側の納得をどう調達するのか――そちらの設計図も、あわせて見せてほしいところです。
2026.06.26
電子カルテ標準化

標準型電子カルテ、2027年4月供給へ ― 標準仕様Ver1.0の認証制度、2026年9月に公表

6月26日の医療等情報利活用ワーキンググループで、標準仕様の認証制度要綱を2026年9月に公開し、「標準仕様Ver1.0認証」を受けた電子カルテ製品の2027年4月提供開始を目指す方針が示されました。

医療ラボの視点認証制度の公開が9月、認証製品の供給が翌年4月。ベンダーに与えられた期間は実質半年ほどです。2030年の普及目標から逆算すれば急ぐしかないのでしょうが、急いで世に出たシステムは、その後の現場で長く使われるもの。最初の版の「作り込みの余白」がどれだけ残されているか、静かに見守りたいところです。
事業領域

医療の「次の一手」を、実行まで。

01

プロジェクト
マネジメント実行支援

選定・導入・更新の現場で、計画から稼働まで伴走。要件の抜けや運用の穴を塞ぎます。

02

マネジメント
コンサルティング

経営と現場をつなぐ視点で、医療機関の意思決定と業務改善を支えます。

03

システム
コンサルティング

標準化の波を自院の業務に落とし込む。ベンダー中立の立場で最適解を導きます。

04

受託開発業務

27年の実装知見で、医療現場で本当に動くシステムを確実に形にします。

私たちの強み

数字を見るだけでは、医療は変わらない。

01

電子カルテ27年の実装知見

汎用機の時代からAI活用まで、医療情報システムの進歩とともに歩んできた現場の知見が土台です。

02

現場と制度の両側を知る

告示・通知などの一次情報を押さえつつ、現場で何が起きるかを併せて読む。机上論で終わらせません。

03

ベンダー中立・忖度しない

特定製品ありきではなく、医療機関にとっての最適を率直に。だからこそ言える本音があります。

04

見る→決める→動くまで伴走

課題の可視化で終わらず、意思決定と実行までを支える。動くものを、確実に届けます。

会社案内

ITで医療の未来を想像し、人の未来に貢献する。

会社名株式会社医療ラボ
代表者代表取締役 髙月 常光
所在地〒279-0041 千葉県浦安市堀江3-28-31
電話090-8893-2345
事業内容プロジェクトマネジメント実行支援/マネジメントコンサルティング/システムコンサルティング/受託開発業務

その「次の一手」、
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