電子カルテ27年。医療情報システムのコンサルティング・PMO・受託開発、そして医療データの二次利用支援。建前ではなく、現場で本当に効く「次の一手」を、制度と現場の両側から導きます。
統計情報やAIモデルを作るためだけなら、同意はいらない。その代わり、目的の外には使わない、元のデータに戻させない、要らなくなったら消す。今回の案は、特例の歯止めを一つずつ規則の言葉に落とし込もうとしていて、丁寧な仕事だと思います。本人に働きかけて反応を集めるような手法は外す、という一文にも、線を引こうとする意思が見えます。気になったのは、同意の代わりに置かれた「公表」の、受け取り手のほうでした。事業者のウェブページ1枚に、検索で見つかるキーワードを添えて載せる。透明性の確保として筋は通っていますが、自分の診療情報がどこかのAI開発に使われていないか、患者さんが自ら検索して確かめに行く――その場面は、正直あまり想像できません。委員会が指定するサイトに集める案が論点として残っているのは、その意味で心強いところです。もう一つは、医療の宿題です。病歴の扱いと、医師の守秘義務や倫理指針との関係をはっきりさせてほしい、という附帯決議は資料に載っていますが、答えはガイドラインの段に持ち越されました。同じ資料には、漏えい報告の大半が「本人1人」の事案で、病院や薬局の誤交付が多い、というデータも並んでいます。報告が軽くなるのは現場にはありがたい話です。ただ資料自身が、本人にとっては深刻な事態になり得る、と書き添えています。医療データは、この特例の影響をいちばん強く受ける領域のひとつです。規則とガイドラインの行間に、医療の事情がどこまで書き込まれるのか。見守りたいところです。
9月30日、内閣府の「医療等情報の利活用の推進に関する検討会」第17回が開かれ、9月11日の第16回に示されたとりまとめ(案)に、構成員の意見を踏まえた修正を加えた案が示されました。共同通信などの報道によると、検討会はこの案を座長一任で了承しました。案は、医療等情報の一次利用と二次利用を一体的に進めるためのグランドデザインと制度枠組みをまとめたもので、研究開発を機能とする大規模な病院(例えば特定機能病院及び臨床研究中核病院)には民間の認定事業者の求めに応じた医療等情報の提供を義務付け、それ以外の医療機関等は努力義務とすること、データ収集時の同意に頼る「入口規制」から利活用時の審査による「出口規制」へ転換すること、患者の識別子は現時点では被保険者番号を活用する方向とすること、といった骨格は第16回の案を引き継いでいます。今回の修正では、9月11日の議論を受けた構成員の意見として、自己の情報を利用させる権利・アクセスさせない権利など国民主体のデータ利活用を基本理念で明確にすべき、生涯不変の識別子の在り方を引き続き検討し、国はデータの連結の状況を定期的に把握・公表すべき、データ利用申請から入手まで1〜2か月程度を目指すべき、制度の周知広報は準備段階から医療DXと一体的に行ってほしい、といった記載が書き加えられました。案の日付欄は「令和8年●月●日」のままで、最終的な文言は座長に委ねられています。政府は、必要な措置が法改正を要する場合、令和9年(2027年)の通常国会への法案提出を目指すとしています。
9月18日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は「医療機器プログラム(SaMD)の審査ポイントに関する意見募集」のページに、5件目のドラフトとして「生成AIを活用したプログラム医療機器(Draft)」を掲載し、2027年3月17日までの意見募集を始めました(文書の日付は2026年9月14日、作成は審査センター)。この取組は、2022年6月7日閣議決定の規制改革実施計画に基づき、開発事業者の予見性を高めるために審査のポイントをあらかじめ整理・公表するもので、同じページには7月1日公表のDigital Therapeutics など4件も並んでいます。今回の対象は、大規模言語モデル(LLM)や視覚言語モデル(VLM)として実現された生成AIを用いる医療機器です。文書は「本審査ポイント発行時点では生成AIを用いた医療機器に関する審査実績はない」と明記し、自らを「現時点でのたたき台」と位置づけています。どこまでを医療機器として扱うか(医療機器該当性)も慎重に議論されている最中で、本文は医療機器に該当した場合を前提にしている、とも断っています。中身は、生成AIの技術的特性を5つの側面(学習過程やモデル構造の大規模性、文脈に応じたコンテンツ生成能力、汎用性・多目的性、外部システムとの相互運用性、動作の自律性)で整理したうえで、評価上の課題として出力の不確定性・変動と出力妥当性の評価を、使用上の課題として説明可能性、適応外使用・不適切使用・誤使用、使用者のリテラシー、自動化バイアスなどの認知バイアスを挙げるものです。市販後については、ハルシネーションの発生状況等を積極的に収集し定期的な報告が「求められるであろう」とし、エージェント的に動く製品ではログの監視も想定しています。設計上望ましい措置としては、出力の根拠情報の提示、使用目的を逸脱した要求を拒否するガードレール機構、リテラシー向上のためのチェックリストや研修が挙げられ、出力への過度な依存で批判的思考や専門的技能が退化する「デスキリング」への懸念も書かれています。「おわりに」では、ハルシネーションを理由にリスクが許容できないとする声に対し、医療従事者は様々なエビデンスレベルの情報を解釈しながら判断している、生成AIの出力も同様ではないか、と問いかけたうえで、当面は、使用者が出力の成否を適切に判断できない場合には、その内容に精通する医師に確認をとることを義務付けることも「必要かもしれない」と結んでいます。
9月18日、デジタル庁は「Public Medical Hub システム利用規約(医療機関等向け)の改正について」を公表しました。改正の内容は、規約中の「社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)」を「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(以下「DX審査支払機構」という。)」に改めるというもので、施行は2026年10月1日、すでに規約に同意している利用者の再同意は不要とされています。背景にあるのは、令和7年12月5日に成立し12日に公布された「医療法等の一部を改正する法律」です。同法の概要は、医療DXの推進を柱の一つに挙げ、「社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営に係る母体として名称、法人の目的、組織体制等の見直しを行う」と整理しています。支払基金自身の案内によれば、新名称は「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」、英語名はJapan Healthcare Payment & Digital Transformation Services、略称は「DX審査支払機構」または「HPDX」で、ホームページのドメインも ssk.or.jp から hpdx.or.jp へ変わります。本部事務所は9月24日に東京都港区新橋から江東区豊洲へ移転し、レセプトの提出先・電話番号・地方拠点の住所に変更はないとされています。法案審議の際には、衆参両院の厚生労働委員会が附帯決議で、組織体制の見直しに当たり「引き続き審査支払機能を果たせるよう、人員配置を含め、適切な運営体制を確保すること」(衆院)、「医療DXに関する専門人材を十分確保すること」「改組後の組織運営に要する費用負担の在り方については、審査支払業務と医療DX関連業務の双方を十全に担っていくこと等を踏まえて、検討すること」(参院)を求めています。
7月に成立した改正個人情報保護法(令和8年法律第56号)について、個人情報保護委員会は9月9日の第368回会合で「政令・規則・ガイドライン等の整備に関する今後の進め方(案)」を、9月16日の第369回会合で「政令・規則の整備に向けた基本的な考え方(案)について①」を示しました。進め方の案では、改正法の4つの分類(適正なデータ利活用の推進、リスクに適切に対応した規律、不適正利用等防止、規律遵守の実効性確保)ごとに委員会が基本的な考え方を示して議論し、事業者の立場の団体・多様な個人の立場の団体との意見交換や事務局ヒアリングを経て具体的内容、条文案へと進み、その後に意見公募(パブリックコメント)を始める流れとされています。あわせて示された「当面のスケジュールのイメージ(案)」では、9月中旬に子供の個人情報・顔特徴データ・本人関与に関する規律、9月下旬〜10月上旬に統計作成等・委託先・漏えい等、10月中旬に連絡可能個人関連情報・オプトアウト・課徴金を扱うとされています。16日の資料は、「取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかな」場合に同意を不要とする規定について、本人にとって不測の権利利益の侵害をもたらさないことが自明である場合に限られる、との考え方を示し、ホテル予約や海外送金を例に挙げました。同じ資料の「全体像」には、統計情報等の作成(AI開発等を含む)にのみ利用される場合の同意不要の特例、公衆衛生の向上等のために個人情報を取り扱う場合の同意取得困難性要件の緩和、「学術研究機関等」に医療の提供を目的とする機関又は団体が含まれることの明示も並んでいます。なお9日の会合には、次世代医療基盤法に基づく認定作成事業者の認定(医療AI推進機構株式会社の申請)に係る協議について、画像情報を含む匿名加工医療情報の作成には慎重な検討を求める意見を付して了承する案も諮られました。
9月16日、厚生労働省の健康・医療・介護情報利活用検討会「医療等情報の二次利用に関するワーキンググループ」の第6回が開かれました。資料2は、令和7年の医療法等改正で可能になった、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベース(NDB等の公的DB)の仮名化情報の利用・提供について、改正法が公布後3年以内の施行であることから「令和10年度中からの運用開始を目指して準備を進める」とし、令和10年度12月までに政令・省令等の改正を検討し、新しい申請・審査体制に必要なシステム開発を行う工程を示しました。研究者がリモートアクセスして解析する「情報連携基盤」は、ガバメントクラウド上に令和8年度から構築を始めているとされています。この日の論点(案)は、利用者と基盤の安全管理措置を、既存の医療・介護データ解析環境であるHICの考え方を踏襲して設定し、さらにガバメントクラウドのセキュリティ対策を適用すること、基盤に持ち込む情報を厚労省がセキュリティチェックすること、研究実施の意思が確認できた研究者に研究対象者数を事前に閲覧できる「研究フィージビリティ調査機能」を設けること(一定数未満の結果は表示しない等の制御を行う)、個別の特別抽出に加えて「パターン抽出(仮称)」のデータを受け取れるようにすること、などです。電子カルテ情報共有サービスで共有される情報から氏名等を削除・変換して格納する「電子カルテ情報データベース(仮称)」も、今後の論点として挙げられています。資料には、9月11日の内閣府検討会のとりまとめ(案)のうち、厚労省が構築を進める情報連携基盤に関する記載も引用されました。
9月11日、内閣府の「医療等情報の利活用の推進に関する検討会」第16回に、資料1として「医療等情報の利活用の推進に関する検討会とりまとめ(案)」が示されました。令和8年1月23日の中間まとめに見え消しで修正を加えたうえで、「Ⅳ.医療等情報の二次利用の制度枠組み」を新たに書き起こしたものです。この検討会は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和7年6月13日閣議決定)に基づき、EUのEHDS(European Health Data Space)規則も参考にしながら、医療データの一次利用・二次利用に関する基本理念と包括的・体系的な制度枠組みを検討してきたもので、必要な措置が法改正を要する場合は令和9年通常国会への法案提出を目指すとされています。案の主な内容は次のとおりです。対象とする情報は、次世代医療基盤法では対象外となっている所得・就労等の健康に影響を与える要因に関するデータも含め、幅広く取る。収集方法については、医療分野の研究開発を機能とする大規模な病院(例えば特定機能病院及び臨床研究中核病院)に対し、民間の認定事業者の求めに応じて保有する医療等情報を提供することを義務付け、それ以外の医療機関等は努力義務とする。制度導入時の負担に鑑み、まずは保険診療に係る電子カルテ情報や画像情報を提供義務の対象とする。本人関与については、データ収集時に同意を取る「入口規制」から利活用時に適切性を審査する「出口規制」への転換という考え方とEHDS規則第71条を踏まえ、NDB・介護DB等の悉皆的な情報の国・公的機関への提供は現行どおり本人同意もオプトアウトも要さず、追加的な情報の民間の認定事業者への提供は「本人への事前通知を要しないオプトアウト」の仕組みによる。その際、オプトアウトの権利行使ができることについて十分な周知を行う。個人識別符号に該当するゲノムデータや画像情報等についても、国の認定を受けた事業者のセキュアな環境での利活用に限定する等の規律を設けたうえで、オプトアウトで停止が求められない場合は加工を行わずに利活用を可能とする。患者の識別子は、マイナンバーを活用する案と被保険者番号を活用する案のメリット・課題を並べたうえで、「被保険者番号を活用する方向で取組を進めることが現実的である」とされました。このほか、利活用の過程で健康に関する重大な知見が発見された場合に本人へ通知できるよう個人の再識別の禁止に例外を設けること、雇用・保険契約等で特定の個人又は集団に不当な差別となる決定への利用や、特定の商品・役務の広告・宣伝への利用は認めないことなども盛り込まれています。
選定・導入・更新の現場で、計画から稼働まで伴走。要件の抜けや運用の穴を塞ぎます。
経営と現場をつなぐ視点で、医療機関の意思決定と業務改善を支えます。
標準化の波を自院の業務に落とし込む。ベンダー中立の立場で最適解を導きます。
27年の実装知見で、医療現場で本当に動くシステムを確実に形にします。
汎用機の時代からAI活用まで、医療情報システムの進歩とともに歩んできた現場の知見が土台です。
告示・通知などの一次情報を押さえつつ、現場で何が起きるかを併せて読む。机上論で終わらせません。
特定製品ありきではなく、医療機関にとっての最適を率直に。だからこそ言える本音があります。
課題の可視化で終わらず、意思決定と実行までを支える。動くものを、確実に届けます。
| 会社名 | 株式会社医療ラボ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 髙月 常光 |
| 所在地 | 〒279-0041 千葉県浦安市堀江3-28-31 |
| 電話 | 090-8893-2345 |
| 事業内容 | プロジェクトマネジメント実行支援/マネジメントコンサルティング/システムコンサルティング/受託開発業務 |