電子カルテ27年。医療情報システムのコンサルティング・PMO・受託開発、そして医療データの二次利用支援。建前ではなく、現場で本当に効く「次の一手」を、制度と現場の両側から導きます。
数字の絵としては、よくできていると思います。オンプレミス型が右肩下がりに、クラウドネイティブ型が右肩上がりに交差していく。ただ、その交差が起きるのは2031年度あたりで、目標年の2030年ではありません。表が2033年度まで伸びているのは、おそらく正直さの表れでしょう。2030年で切ってしまえば、オンプレミス型5,000施設・クラウドネイティブ型2,900施設という、目標と並べにくい絵になります。もっとも、計画自身が「一定の粗い仮定」と断っているとおり、この曲線の形は仮定が決めています。今あるオンプレミスの7分の1が毎年きれいに更改を迎える、という仮定は、現場の更新サイクルの実感とどれくらい合うでしょうか。普及率の分母を「オンライン資格確認を運用開始している医療機関」に置いたことも、控えめながら効いています。そして施策の欄には、すべてが令和9年度の概算要求に基づくもので今後変わり得る、と注が付いています。計画は9日に公表され、翌10日のワーキンググループには、同じ日付の文書が「(案)」の名前で配られました。急いでいるのだろうな、とは思います。急ぐこと自体を責める気にはなりませんが、その速さが現場の更改サイクルにどう伝わっていくのかは、静かに見ておきたいところです。
9月10日の第35回医療等情報利活用ワーキンググループに、資料3「令和8年度規制改革実施計画を踏まえた対応の検討について」が示されました。令和8年7月21日に閣議決定された規制改革実施計画は「電子カルテデータの利活用の促進」として、電子カルテ情報共有サービスの対象情報の拡充と、医療機関から登録された電子カルテデータの保存期間の延長を「令和8年結論」と位置づけています。事務局は拡充の候補として、画像情報、画像診断報告書・病理診断報告書、現在共有対象外の検体検査結果等、バイタルサイン・妊娠出産関連情報・家族情報・テキストデータ等を挙げ、それぞれの現状・課題・論点を整理しました。課題としては、画像の共有・蓄積にはより多くの保存容量が必要でランニングコストが増加しうること、様々な画像が共有されると確認する医療従事者の負担になる恐れがあること、検体検査項目を増やすほど医療機関でのJLAC11コードのマッピング負荷が増すことなどが挙げられています。バイタルサインについては、令和7年度の地域医療情報連携ネットワーク調査研究事業の最終報告書で、調査対象ネットワークにおける閲覧割合(該当情報を閲覧された延べ患者数/延べ閲覧患者数)が1%未満だったことが示されました。保存期間は現行で原則最長5年(医師の判断による長期保存フラグを付したものを除く)。移行期医療など長期のフォローアップが必要な疾患で延長を求める声がある一方、医師法上の診療録の保存義務が5年であるため、情報共有基盤上には残っているが登録元の医療機関には残っていない状態が生じ「責任の所在が不明確になる恐れがある」と整理されています。
同じワーキンググループの資料1で、電子カルテ情報共有サービスの今後のスケジュール(案)が示されました。令和8年10月から、公開済みの「技術解説書(検証用)」を用いた再度の検証をモデル医療機関で開始し、その結果を踏まえて必要があれば改版したうえで、「技術解説書(運用開始用)」を令和8年度冬頃に公開する予定とされています。全国的な運用開始も令和8年度冬頃が目標です。資料は開発ベンダ向けの留意点として、「これまでに発出されている技術解説書に準じたシステムではなく、現場の医療機関への負担を軽減する観点から、『技術解説書(運用開始用)』の内容を反映したシステムでの改修等を実施していただきたい」と明記しました。あわせて、モデル事業で浮上したアレルギー情報の登録運用も議題になりました。医療機関では「さば」「あじ」を魚固有の名称ではなく「青魚」と登録することが多く、「アーモンド」「カシューナッツ」も「ナッツ類」として登録されることが多い一方、現在のJFAGYコードマスタに「青魚」「ナッツ類」は存在しません。事務局は両者をJFAGYコードへ追加する方向で調整を進めてはどうかと提案し、ただしアレルギーの原因特定や情報の活用の観点では大きい分類の「青魚」より「サバ」など個別の魚が特定されている方が良いという考えもあるとして、運用開始に向けて注意事項・留意事項を整理する必要があるとしています。運用開始後にダミーコードの使用状況を分析し、コードの見直しにつなげる運用イメージも示されました。
同ワーキンググループの資料2「歯科における医療DXについて」に、厚生労働省委託事業のアンケート結果(実施期間2026年7月21日〜8月14日、n=4,209)が示されました。カルテ作成方法として電子カルテを利用している歯科診療所は12%、カルテ作成支援機能を備えたレセプトコンピュータを利用しているのが51%、同レセコンとカルテ用紙への手書きの併用が28%、カルテ用紙に手書きが9%です。ここでの「電子カルテ」は、「いつ・だれが修正したかの履歴をカルテシステム内で確認することができる」と回答した場合のみを計上したものとされています。未導入の理由は「導入や運用にかかる費用が高い」が最も多く挙げられました。一方、同じ日に参考配付された電子カルテ普及計画には、社会保険診療報酬支払基金のアンケート(2026年6月5日〜10日)に基づく歯科診療所の電子カルテ導入率41.5%(導入済み18,533/総数44,609)が載っています。歯科医療機関向け電子カルテの標準仕様は令和8年度中の策定が予定され(クラウドネイティブ型を想定)、あわせて「歯科情報に関する技術作業班」の開催要綱(案)が示されました。
9月9日の第2回ヘルスケアAX・DX推進本部に、資料3「ヘルスケアAXの推進について」が示されました。令和9年度概算要求の主な事項として、「AI for Health 研究開発プラットフォーム構築事業」153億円+事項要求(前年度当初予算額は「−」)、「医薬品等の審査・安全対策におけるAI導入推進事業」30億円、「医療分野のエージェント型AIによる新たな業務支援サービスの開発支援」25億円、「介護テクノロジー開発・普及等加速化事業」8.8億円、「介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業」240億円の一部などが並びます。プラットフォームの役割には、フィジカルAIによる共用の自律ラボの運営・管理、医用画像AI研究開発データ基盤の整備、臨床試験AX、海外創薬・医療AI研究機関の国内拠点整備、そして「電子カルテ等のAIエージェント対応の推進」が挙げられ、実施主体は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)および民間事業者等、KPIは①創薬シーズの導出、②医療AIソフトウェア等の開発とされています。資料の現状分析には、医療・介護の業務支援AIについて「低い普及率」「AIの費用対効果が不明確」と記されました。あわせて省内体制の参考資料が9月8日付で更新され、8月4日設置の推進本部の下に、医務技監を室長とする「AI for ヘルスケア成長戦略室」が置かれる体制図が示されています。
8月27日、厚生労働省は社会保障審議会の医療保険部会(第213回)と医療部会(第130回)に「医療情報化推進方針(案)」を示しました。地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第11条の2第1項に基づく厚生労働大臣告示で、令和8年10月1日から適用するとされています。方針の対象期間は2026年10月1日から2030年3月31日までの3年半です。目標としては、2028年度までに、電子カルテ未導入の200床以上の病院(療養病床等が中心の病院を除く)について電子カルテ普及率100%を目指すこと、また2030年末までに、①必要な患者の医療情報の共有が可能な電子カルテの普及率約100%の達成、②地域の拠点となる病院全てに対するセキュリティ点検・外部接続点の適正化等のサイバーセキュリティ対策の実施、③大病院向けのクラウドネイティブ型製品(電子カルテ・部門システム)が提供される環境の整備、の3点が明記されました。2030年末に約100%という水準は、昨年公布された医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)にすでに規定されているものです。方針案はこのほか、政府DXサービスへの接続等を要件とする標準仕様に即したクラウドネイティブ型電子カルテの認証制度を2026年度中に構築すること、標準型電子カルテ(導入版)について2026年度中の完成を目指すこと、電子カルテ情報共有サービスを2026年度冬をめどに全国で運用開始することなども盛り込まれています。冒頭には「点で進んできたDXを、国がハブとなって線につなぎ、やがて面へ。」「オンプレミスのたこつぼ化を越え、クラウドで基盤をつなぎ直す。」という標語が置かれました。
8月27日、文部科学省・厚生労働省・経済産業省は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の一部を改正する件」(令和8年 文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)を告示し、あわせて施行通知を発出しました。施行は令和8年12月1日です。通知は改正の趣旨として、個人情報保護法の改正のたびに指針の部分的改正を重ねた結果、指針の内容が「複雑かつ難解となり、研究を停滞させる一因になっている可能性」を指摘されたこと、規制改革実施計画(令和6年6月21日閣議決定)において多機関共同研究の一括した倫理審査が十分に普及していないことや倫理審査委員会の審査の質のばらつきが指摘されたことを挙げています。主な改正点は、基本方針に患者・市民の視点を尊重することを規定したこと、研究を「侵襲を伴う研究又は介入を行う研究」「試料を用いる研究」「試料を用いない研究」の3つに分類してリスクに応じインフォームド・コンセント(IC)又はオプトアウトのいずれかを行うこととし、「文書IC」「口頭IC」「適切な同意」の用語を「IC」に統一したこと、既存情報を用いる研究にも既存試料と同様の要件を適用して原則オプトアウトとしたこと、侵襲・介入研究の多機関共同研究では一の倫理審査委員会による一括した審査を必須としたことなどです。実施中の研究については、個人情報保護関連法令及びガイドラインの規定が遵守される場合に限り、なお従前の例によることができる経過措置が置かれました。
選定・導入・更新の現場で、計画から稼働まで伴走。要件の抜けや運用の穴を塞ぎます。
経営と現場をつなぐ視点で、医療機関の意思決定と業務改善を支えます。
標準化の波を自院の業務に落とし込む。ベンダー中立の立場で最適解を導きます。
27年の実装知見で、医療現場で本当に動くシステムを確実に形にします。
汎用機の時代からAI活用まで、医療情報システムの進歩とともに歩んできた現場の知見が土台です。
告示・通知などの一次情報を押さえつつ、現場で何が起きるかを併せて読む。机上論で終わらせません。
特定製品ありきではなく、医療機関にとっての最適を率直に。だからこそ言える本音があります。
課題の可視化で終わらず、意思決定と実行までを支える。動くものを、確実に届けます。
| 会社名 | 株式会社医療ラボ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 髙月 常光 |
| 所在地 | 〒279-0041 千葉県浦安市堀江3-28-31 |
| 電話 | 090-8893-2345 |
| 事業内容 | プロジェクトマネジメント実行支援/マネジメントコンサルティング/システムコンサルティング/受託開発業務 |